これまでの面接では、言わなかったことがある。
10年くらい前の脳梗塞。
もう昔のことだし、普段の生活にも問題はない。
だから、あえて言う必要はないと思っていた。
でも今回、タクシーの面接では少し迷った。
人を乗せる仕事だし、運転もする。
もし後で何かあったら…。
そう考えて、初めて口にした。
「10年ほど前に脳梗塞をやっています」
面接官の表情は、大きくは変わらなかった。
でも、ほんの少しだけ空気が変わった気がした。
気のせいかもしれない。
言ったほうがよかったのか。
言わないほうがよかったのか。
正直、今でも分からない。
ただ一つ言えるのは、
あの一言を言った瞬間、
自分の中でも何かが変わった気がする。
正直に話したことで、
少しだけ気持ちは楽になった。
でも結果は、不採用だった。
あれが原因だったのかは分からない。
年齢かもしれない。
他にもっと条件のいい人がいたのかもしれない。
ただ、これから先も同じ場面はあると思う。
そのとき、自分はどうするのか。
まだ答えは出ていない。