――10年前のことが、今を止めた
タクシー会社の面接に落ちた。
結果の連絡は、思っていたよりもあっさりしていた。
「今回はご縁がなく…」
よくある言葉。でも、今回は少し違った。
理由は10年以上前にやった、脳梗塞のことだ。
面接のとき、正直に話した。
もう昔のことだし、問題ないと思っていた。
実際、日常生活にも支障はない。
仕事だってできる状態だ。
でも――
「運転」という仕事になると、話は変わるのかもしれない。
長時間の運転。
お客さんの命を預かる責任。
もし万が一があったら、会社としても大きなリスクになる。
頭では分かる。
分かるけど、気持ちはついてこない。
正直、かなりショックだった。
40代の頃は、面接に行けばその場で決まることも多かった。
「明日から来て」なんて言われたこともあった。
それが今は違う。
結果を待って、そして落ちる。
理由も、昔の自分ではどうにもできないことだったりする。
年齢なのか。
経歴なのか。
それとも、たまたま今回がそうだっただけなのか。
考え出すと、キリがない。
ただ、一つ思ったことがある。
今回ダメだったのは、「自分」がダメだったわけじゃない。
タクシーという仕事と、自分の過去が合わなかっただけだ。
そう考えないと、前に進めない。
少し悔しいけど、仕方ない。
世の中には、向き不向きがある。
だったら、別の道を探せばいい。
同じ働くでも、
もっと通りやすい仕事があるはずだ。
倉庫でもいい。
軽作業でもいい。
無理なく続けられる仕事を見つける方が、結局は長く働ける。
今日はちょっと落ち込んだ。
でも、ここで止まるわけにはいかない。
また一つ、現実を知った日。
次に行こう。